院生会とゲーム理論と

同位体論文の仕上げにかかっている。雑用に時々集中力が妨げられる。明日からは本学でゲーム理論の研究集会もあるし、ゼロ稿完成は来週になってしまうかもしれない。


台湾に送らない物は実家に置いてもらうことに。引越し見積もり、意外と安い。


センターには院生会という組織があって、孤立した研究施設で学生の生活・研究環境を維持・向上する組織として発足。今回の最大の議題は、院生とポスドクの部屋割り。1階のポスドク部屋から2・3階の院生部屋にポスドクが移りたいらしいが、それを受け入れるか否か。結論としては、とりあえず承認ということに。ただ「1階が寂しいから」という問題は将来に先送りに。というか、院生会としてはノータッチということに。部屋割り云々とか研究に関係ないしどうでもいい思ったけど、1階の寂しさはポスドクの問題と切り捨てる院生の言い分も寂しいと思った。いっそ、ごちゃ混ぜにしたらいいのに。


で、昼飯はいつものレストランへ、Sさん(トンボ)、Iくん(河川食物網)、Kくん(虫こぶ)、Sさん(昆虫群集)と。明日のセンター歓送会のためにお造り盛り合わせを注文しようとしたけど、今週は釣れなかったらしい。ということで、手巻き寿司をするらしいので田上米を寄贈。今回も、お店のおばちゃんのポテンシャルをまた一つ知った。食後のコーヒーが出て、ブラジル人のSさんが「このコーヒーおいしい」といったので、おばちゃん(70歳、放送大学に通う現役女子大生)に通訳したら「オブリガート」ってポルトガル語で返事。一同驚愕。


ゲーム理論研究集会。ほとんど経済系の人ばかり。知っているのは、Q大のIさん(何でも興味)、M大のWさん(協力モデル)、S大のMさん(空間モデル)、T大のOくん(協力モデル)くらい。シクリッド論文を書いたときにゲーム理論についてレビューした。そのとき、レビューすればするほどこの分野が恐ろしくだだっ広いと気づいた。ゲーム理論の研究自体は面白い。興味をそそられるテーマも多い。例えばコーディネーションゲームとか、生態学では聞いたこともないものもあって面白い。でも、文献を集めていたらきりがなく、いつのまにか生態学的思考から離れていくようにも思えた。ただ生態学の視点から見ると、ゲーム理論の応用の可能性はまだまだある気がする。繁殖調整論文や休眠卵論文を書いたときにも考えていたことだが、例えば餌が不足して繁殖を控えようとするとき、繁殖抑制は適応的な行動に見えるが、自分が繁殖抑制をしたときに、余った資源を使って他の個体が繁殖をするかもしれない。そうすると、いわゆる「共有地の悲劇」と同じで誰もが繁殖抑制をしなくなる。さて、消費者や資源のダイナミクスを考えた場合、どのような状況で繁殖抑制が維持されるのだろうか。ゲーム理論と群集ダイナミクスの融合ってどうなんだろう、実証レベルではまだまだのような気がする。夜は、京大近くで高級鍋。異分野の人たちの話はかなり刺激的。基本的に文系の人が多いので「誰々の教え子は何処何処の会社で取締をしている」とか、「Nature, Scienceとか読まないよ」とか、「理系の人たちの発表って説明がクリア」、「シミュレーションだけでなく近似的な解析が凄い、やっぱ数学は強いよね」とか。ただ、僕自身がゲーム理論が専門ではないので、話の大半は「ふふふん」という感じで聞いていた。一番気になった話は「貨幣の起源」。経済学でもまだ謎らしいが、その場の結論としては情報ネットワークが重要ということに。