レビュー

Effects of stocking-up freshwater food webs
Edy et al 2006 TREE
主に釣り目的で湖沼に捕食魚が移入されている。その影響に関してレビュー。湖沼生態系への捕食魚の導入は、カスケーディングトップダウン効果によって、群集構造や食物網構造を変える。それは、生物の空間分布や系全体のエネルギー転換効率、排泄物を介した栄養塩リサイクル、生態系機能(大気とのガス交換)、安定性(撹乱からの回復性)などに影響する。効果の詳細は、食物網構造や環境条件など様々な要因に依存する。生態系機能や安定性への影響はまだ不明な点が多い。特に関心があったのは、捕食魚の導入によって両生類が減少し、それが陸域生態系にまで波及していること(ヘビが減少する場合もあるとか)。


Tangled webs: reciprocal flows of invertebrate prey link streams and riparian zones
Baxter et al 2005 Freshwat Biol
水生昆虫による河川へ流入と河川からの羽化の影響についてのレビュー。陸域から河川、河川から陸域の各プロセスについて、供給パタン(種タイプや量、変動性など)とそれに伴う捕食者の機能・数の反応、食物網動態への影響を説明。陸域生態系に対する羽化の影響についての知見は相対的に少なそう。外部からの餌供される給は、捕食者を介して、他方の系の餌に影響する。その効果の正負は時間スケールによって異なり、捕食者が量的に反応すれば(繁殖や集合)、見かけの競争の効果によって負になり、機能で反応すれば(スイッチング)正になる(最近のモデルを参照)。一方向的な研究が多く、双方向の供給を考えたときに、どのようなフィードバックが働いて系が長期変動するのか、もしくは安定性はどうなるのかはなどは不明。