タカハトゲームの復習

進化ゲーム理論における古典的なモデルの一つ。そして、タカハトゲームといえばJohn Maynard-Smithと、この論文。
The logic of animal conflict
Maynard-Smith and Price (1973) Nature


二人のプレーヤーが資源を巡って闘争をする状況を仮定。闘争のコストと資源の価値をそれぞれをV(value)とC(cost)とおく。両方のプレーヤーがタカ戦略をとると、どちらも闘争のコストを負い、資源を得る確率は50%なので、利益の期待値は(V-C)/2。両者がハト戦略の場合、ハト戦略は闘争を避けて仲良く資源を共有するので、利益は共にV/2。一方がハト戦略の場合、タカ戦略は闘争せずに資源を独占できるのでVの利益を得るが、ハト戦略の利益はゼロ。


どのような戦略が有利になるかは、資源の価値Vと闘争のコストCに依存する。資源の価値が闘争のコストより大きいならば(V>C)、プレーヤーは傷(コスト)を負ってでも資源を得るために闘争するべきだから、タカ戦略が進化的に安定。闘争のコストが大きいと(C>V)、タカ戦略もハト戦略も進化的に安定にならない。なぜなら、ハト戦略ばかりになると資源を奪えるタカ戦略が有利になり、タカ戦略ばかりになると闘争ばかりになるのでハト戦略が有利になるから。


で、「プレーヤーは、pと1-pの確率でタカ戦略とハト戦略の両方を使い分けることができる」という仮定を考える。この混合戦略が優占する集団内で、タカ戦略をとった場合の利益はp×(V-C)/2+(1-p)×V。ハト戦略をとった場合の利益はp×0+(1-p)×V/2。


p=V/Cのとき、タカ戦略とハト戦略の利益が等しくなり、混合戦略が進化的に安定になる。もちろん、この基本モデルは非常にシンプルで今まで幾つものバリエーションが提唱されてきたわけですが、ゲーム理論が取り入れられたことで、進化生物学や動物行動学は大きく飛躍しました。教科書で読んで、理論をやろうと思った話のうちの一つです。


前置きが長くなりましたが、言いたかったことは、台湾のハトは闘争はしないけど、資源の共有もしないらしい、ということ。モデルの前提が覆されて少し動揺しました。順位制とか早い者勝ち効果とかでしょうか。それとも交渉の最中なのでしょうか。
















「餌が欲しいクルックー」「餌は渡さないクルックー」


















別の鳥はすごい勢いで闘争してました。何の鳥でしょう。