医学が発達するとガンで死ぬ

ガン細胞のダイナミクスは、ゲーム理論における裏切り者にたとえられて研究されることがよくある、この人とかに。ガン細胞が発生する医学的なメカニズムは良く知らないけれど、ガン細胞が異常増殖して結局は個体の死を招く様が、共有地の悲劇協力行動の崩壊と似ているからだろう。


数年前、Q大のIさんがガンの数理モデルを研究していて「人いずれガンで死ぬ」とかなんとか、それに近いことを言ったような気がする。ぼくはそれを「いくら医学が発達して他の死亡要因が取り除かれてたとしても、ガンの発生を抑制することはできない。それは、協力行動が集団内部から崩壊するように、または生物が自然選択で進化するように、不可避的で自動的な現象なんだ」と勝手に理解した(実際はもっと複雑な問題だとは思っています)。


で、気になって、WHOのHPでデータを探していじってみた。仮説は「寿命が長い国ほど死亡要因に占めるガンの割合が高い」。


横軸は「成人の死亡率」。データベースでは"Adult mortality rate (probability of dying between 15 to 60 years per 1000 population) both sexes, 2006"。低いほど寿命が長いということ。


縦軸は「死亡要因に占めるガンの割合」。データベースにある"Age-standardized mortality rate for cancer (per 100 000 population), 2002"を、同じ項のcancer(ガン)とcardiovascular diseases(心臓血管疾患)とnon-communicable diseases(非伝染病)の値の和で割ったもの。ここでは病気を対象にしているので、ケガや事故は含めず。他の病気はデータが見つからず。


とりあえず、仮説は正しそう。Iさんの言う通りだ。